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zoom RSS 映画の感想文 [635] 魂のジュリエッタ

<<   作成日時 : 2013/08/03 14:11   >>

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【魂のジュリエッタ】
原題:Giulietta degli spiriti
製作国:イタリア、仏国
製作年:1964年
日本公開:1966年11月
監督:Federico Fellini(フェデリコ・フェリーニ)
出演:Giulietta Masina(ジュリエッタ・マシーナ)

===== あらすじ(途中まで) =====
 海辺の豪邸に住むジョルジュとジュリエッタの夫妻は結婚記念日を迎えた。ジュリエッタは二人きりで静かな夜を過ごそうとするが、ジョルジュは大勢の仲間を自宅へ招いてしまう。その夜、余興で降霊術をやったとき、ジュリエッタはイリスという名前を聞き、それ以来、ときどき幻覚を見たり、奇妙な夢を見るようになった。
 ある夜、ジョルジュが寝言で女の名前を呼ぶのを聞いて、ジュリエッタは夫が浮気しているらしいと気づく。探偵に調査を依頼して確証を得るが、どうすることもできないでいた。
 ジュリエッタは隣に住むスージーのパーティーに招かれ、そこで退廃的な人々を見て自分も浮気をしようと考えるが、結局は踏み込むことはできなかった。

===== 感想 =====

● オチバレ
 この後、ジュリエッタは夫を奪われることを悟り、最後は現実と強く向き合う覚悟を決めて豪邸を後にするというエンディングになる。
 こうしてみると話に大きな展開が乏しいことに気付く。幸せな結婚生活を送っていたつもりが、それは綻びを見せ、一度は妄想や浮気に逃避しようとするものの、毅然と前に進んでいく。テーマも分かりやすい。
 むしろ、ジュリエッタの幻覚や夢、あるいはスージーの館など、非日常的な世界の映像はいったい何だったのかと違和感、あるいはアンバランス感を覚える結末だ。

● 映画の「理解」(*1)
 こうした違和感について、僕は初見でものすごい疑問を抱いたのだが、ものの解説によれば、この映画を「理解」するためには、
1 前作『8 1/2』と対で考えること
2 この映画の撮影中に監督フェリーニと主役マシーナは別居したこと
 を踏まえないといけないのだそうだ。

 この映画と『8 1/2』との関係はよくわからない。どちらの作品もフロイトだのユングだのをふりかざした素人の精神分析ごっこのような解釈をいくつも見たけど、僕の理解では、監督はそうした解釈を「ウゼエよ、アンポンタン」と軽蔑しているんじゃないかと思っている。(*2)

 一方、この映画と同様に、仲の良い夫婦であった監督と女優が別居をすることになったという、まったくのプライベートな出来事については、なるほど確かにそれが反映された映画だとみなすことができる。
 この映画でジュリエッタは火あぶりにあうが、当時、離婚は神の教えに背く行為で、そんなことをする女性は魔女のように焼き殺されるべき存在であるかのように思われていた。しかし、この映画の結論は、ジュリエッタは浮気の誘惑にも屈しない貞節な女性であり、彼女が離婚するのは当然の帰結であって、彼女は毅然とした女性であると描かれている。
 それはそのまま別居する女優ジュリエッタ・マシーナのことであり、監督は別れゆく彼女を賞賛しているのだ。二人はこの映画の7年後の1971年に正式に離婚するのだが、1985年には『ジンジャーとフレッド』で再び一緒に仕事をする。結局は離れられない魂どうしなのだ。

● ラスト
 僕は、この映画を観ながら、ラストはジュリエッタが海を見るシーンになるだろうと予想したのだが、まったく違うものだった。
 『道』のジェルソミーナは海を見ている暗い顔でスクリーンに登場したけど、この映画のジュリエッタは明るい笑顔でフェリーニの元から去っていく。
 この笑顔はフェリーニの愛情だな。

● カラー
 この映画は、フェリーニが本格的にカラーの映像に取り組んだ最初の作品とも言われている。
 色使いはかなりはっきりしていて、原色に近い色で画面が塗り分けられていることが多いけれど、決してケバイ感じにはなっていない。むしろ、ときにはローマ彫刻やゴシック絵画のような重厚なイメージになったり、ときには猥雑で退廃的なイメージになったりと、見事に映像を紡ぎ出している。とにかく巧みだ。

 実は、カラーの恩恵を一番受けたのは、スージー役のサンドラ・ミーロかもしれない。
 主役のジュリエッタ・マシーナが高齢で、原色などの衣装よりもモノトーンのほうが似合ってしまうため、例えばパーティーシーンなどでも、同じような色使いなのに主役よりもサンドラ・ミーロのほうが映えてしまう。二人は貞節と享楽との対比でもあるので、なおさらサンドラ・ミーロが役作りした悪魔的な魅力が記憶に焼き付くことになるみたい。

● 期待は高いのだけれど
 この映画は、これだけからでは「理解」できないということで、そういうのはあまり好きではない。一方、幻覚や夢などの場面がもう少しシュールでいかしてたら、少しは好きになれたかもしれない。
 結局、どうでもいい感じの映画。


(*1) 映画は、そもそも理解するものではなく感じるものだと思う。だけど映画の場合、ストーリーやメッセージも重要なわけで、こうした要素は「理解」するということも必要になる。

(*2) 『8 1/2』の感想などを参照。

画像
ジュリエッタを誘惑するスージー

画像
スージーの悪魔的な魅力

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