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zoom RSS 映画の感想文 [851] 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

<<   作成日時 : 2015/08/02 02:12   >>

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【進撃の巨人 ATTACK ON TITAN】
公開:2015年8月
監督:樋口真嗣
出演:三浦春馬、水原希子

===== あらすじ(途中まで) =====
 大戦の後、謎の巨人たちが出現し、人類のほとんどは食い殺された。生き残った者は巨大な三重の壁を築いて中に籠っていたが、百年後、超大型の巨人によって壁の一部が破壊され、多数の巨人の侵入を許し、農村地域を放棄せざるをえなくなった。
 それから2年。かつて巨人に村を襲われ、幼馴染のミカサを失ったエレンは、兵士となり、壁の修復を行う作戦に志願した。士官のクバル、部隊指揮のハンジ、同郷のアルミンとソウダ、都市部出身のジャン、斧を使うサンナギ、弓の得意なサシャ、子持ちのヒアナ、恋人どうしのフクシとリルらとともに、装甲車で壁の外へ出た。
 大量の火薬を調達するため、廃墟となった街へ向かうが、途中で巨人の襲撃を受けてしまう。ようやく街へ辿り着くと、死んだと思っていたミカサが、伝説の戦士シキシマと二人で、立体機動装置を駆使して巨人と戦っていた。

===== 感想 =====

● 原作
 毎度毎度のことだけど、人気漫画が原作の映画なため、原作至上主義者からボロクソ言われそう。僕はずいぶん前に漫画を読んでるけど、今回、映画を観て、十分に許容範囲の翻案だと思うよ。そもそも原作者諫山創が監修なわけで、原作至上主義者の方々は文句があるなら原作者に言えってこと。

 原作は何かと古典的要素が多い話で、それらを微妙にアレンジし、全体がほどよく調和しているところが見事だった。
 荒廃した近未来という設定は最近のSFの定番。高い壁に守られて何年も暮らすというのは、パンデミックものやゾンビものでおなじみ。巨大な生き物が人間を食うのは、巨大エイリアンものやらジュラシックパークほか。紐状の物を操って空中を移動するのは、バットマンやらスパイダーマンやら。
 文明が退化した中世的な世界に、現代的な価値観の人間がいて、絶望的な戦いを強いられるという不条理状態。こうした要素の配合がうまくいった傑作だった。

 しかも、科学や技術などの遅れた一般大衆から、現代的で個人主義的な価値観を持った主役が英雄視されるというのは、いまどきの若い人が自分自身を投影するのにちょうど良く、思い入れしやすいのだろう。

● 翻案
 今回の映画化に当たっては、おおよその世界観や主要な登場人物などの設定はほぼ同じ、また重要なエピソードのいくつかも盛り込まれているみたいだ。

 ただし、かなり端折ってる。一番外側の壁が破られたこと、エレンたちが壁の修復に向かうこと、優秀な兵士になっていたミカサと再会すること、そしてエレンが襲われる顛末(詳しくは内緒)ぐらいしか話が進まない。あとは仲間同士の衝突やら連帯やらの小ネタが散りばめられているくらい。

 その代わりに重きを置かれているのが、エレンとミカサとの関係、そして巨人とは何かという謎解きだ。いわば、ロマンスとミステリーということで、より映画的に扱いやすい素材がクローズアップされている。これらはこの映画では結論を見ず、いずれも続編へと引っ張られることになる。

● 愚策
 とはいうものの、この映画のストーリーには、どうにも見逃すことができない大きな欠点がある。
 人間が馬鹿過ぎるのだ。

 例えば、壁の外側を全く監視していない。だから超巨人が突然現れてパニックを起こす。実は壁のすぐ近くには砲台があるのだが、大砲は内側を向いている。外からの侵入者を警戒するのではなく、内部の民衆が蜂起して壁を壊すことを防ぐのが目的で、エレンも「街を守るのではなく壁を守ってやがる」と毒づいてる。おそらく、続編への伏線なのだろう。
 しかし外部に対してまったく無警戒というのはどうなんだ? しかも蜂起対策なら弾丸も榴弾とか散弾を用意しておかなくちゃ。
 国や軍のトップがアホなのだ。

 エレンたちは、クバルやハンジに率いられて壁の修復に向かうのだが、それまで何度も失敗して、今回がラストチャンスということらしい。
 であれば、武器の改良や兵の訓練など、もっときっちり準備しなくちゃ。
 彼らが使う主な武器は、剣と弓矢と斧。火薬を作る材料が無くなったので銃などの火器は使用できないという設定だけど、火炎ビンすら無いって学生運動以下。大きな敵を相手にするのに、装甲車に大型の弩(弓)のようなものすら装備してないって、三世紀の三国志以下じゃん! ほかにも通信用の伝書鳩とか、警戒用の軍用犬とか、まだまだ使える装備は考えられるはず。
 致命的なのは兵の練度。いくら実戦経験がなくても、敵を見ただけでヘッピリ腰になるようでは話にならない。胆力を付ける訓練などいくらでもあるわけで、いったい何を鍛え、そして何を基準にメンバーを選抜したのだ?
 さらには出撃してからの行動。敵がうじゃうじゃいる地域だと言うのに、ろくに歩哨も立てずにセックスだあ? 何じゃそれ!
 こんな部隊に人類最後のチャンスを預けるなど狂気の沙汰。
 国や軍のトップがアホなのだ。

 これほど馬鹿だと、さすがに興醒め。もう少しきちんとアイデアを練り、賢い設定にしても、話の流れを大きく変えることなく、もっと面白い話になっただろうに。

● 映像
 映像の見どころは四つ。

 まずは荒廃した世界。今回は軍艦島などのロケを巧みに使い、かなりムードのある絵に仕上がったと思うよ。

 次に巨人。制作上は、フルCGではなく、パペット(人形)や人間の実写をベースにしたとのこと。こちらもなかなか良い仕上がりだと思う。しかも、人間を食う絵では、あまり残酷にならないようにかなり気を使った絵作りをしていたのが好印象。

 3番目はキャラ。中世の騎士団のようなテイストをどれほど出すか。
 これは失敗。
 NHKの大河ドラマもそうだけど、最近の流行りは、やたら汚く見せるということらしい。でも、これは制作側のトンチンカンな思い込みだと思う。
 人間、死に臨む覚悟があるなら身綺麗にするもの。エレンたちは真新しい軍服を着て出撃しなくちゃ。脚本も演出も人間の生死やそれに対する覚悟といったものに対する思想が甘すぎる。
 ひらたくいうと、衣装やメイクはダメダメだった。

 4番目は、立体的要素。
 まずは壁の巨大さの映像表現。これはまあまあかな。
 そして立体機動装置を駆使した戦闘の浮遊感やスピード感。こちらはなかなかのものだと思うよ。

● 役者
 エレン役は三浦春馬。ちょっとヤンチャな優男が勇敢な兵士に変身するというのは、彼の得意なところだな。
 ミカサ役は水原希子。こちらは原作の(いまどきのオタクあたりが好きそうな)ナヨっとした現代風のキャラを廃し、思春期の少女から凛とした女戦士に変身。水原希子は普通の女性を演じるとぱっとしないけど、こうしたシュールな役柄だと存在感が抜群。なお、話の中身に合わせてスキータ・デイヴィスの『エンド・オブ・ザ・ワールド』をピアノで弾くシーンがある。もうちょっと何とかならんかな、ギターはそこそこなのにね。
 ジャン役は三浦貴大。平時は威勢が良いけど、いざとなるとヘタレで、でも結局は度胸が坐るという具合に、意外と難しい役。「ファイト〜、一発!」とはいかなかった。
 ソウダ役はピエール瀧。貫禄っすな。
 クバル役の國村隼も貫禄。クバルって、何か腹黒そうで、これも國村隼のキャラに合ってる感じ。
 シキシマ役は長谷川博己。すんげえナルシストがぴったし。周りから浮いた感じが、捻りの効いたお笑い担当ということなのだろう。
 ハンジ役の石原さとみもお笑い担当。意図的に大袈裟な芝居をし、下ネタも披露。いつもゴーグルを着用していて、彼女の可愛い顔が見えないのが残念。
 ヒアナ役は水崎綾女。こちらはドロドロとしたお色気担当だな。
 リル役の武田梨奈は、ほとんど得意の空手も見せず、むしろラブシーン担当。すっかり役者になって、ちょっと嬉しい。
 サシャ役は桜庭ななみ。ウブなロマンス担当らしいけど、もう少し可愛く撮ってほしいところ。

● 面白い
 いろいろと難はあるものの、致命的ではない。それらをもって作品全体にダメ出しするような小せえこと言わず、がばっと飲み込むべし。
 なかなか面白い映画だと思うよ。


続きの感想はこちら
 ⇒ 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド

サイド・ストーリーの感想はこちら
 ⇒ 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙

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