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zoom RSS 映画の感想文 [991] ボイス・オブ・ムーン

<<   作成日時 : 2016/09/26 23:34   >>

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【ボイス・オブ・ムーン】
原題:La Voce della Luna
制作国:イタリア
制作年:1990年
日本公開:1990年10月
監督:Federico Fellini(フェデリコ・フェリーニ)
出演:Roberto Benigni(ロベルト・ベニーニ)

===== あらすじ(途中まで) =====
 満月の夜、広い荒地にぽつんと残る古井戸の脇で、一人の男が耳を澄ませていた。名をサルヴィーニといい、最近、不思議な声に悩まされ、いつも夜になるとあたりを歩き回っていた。今夜は片思いのアルディーナに会いたくなり、妹スージーの手引きでそっと部屋に忍び込むが、目を覚ましたアルディーナに靴を投げつけられ、あわてて逃げ出すありさまだった。
 次の日、靴を返そうとしてアパートの屋根に上ってテルツィオのクレーン車に助けられ、夜は隣室の幽霊に悩まされている元知事のゴンネッラと一緒にミス・小麦粉コンテストへ行った。サルヴィーニはコンテストに優勝したアルディーナが中年男とキスをするのに幻滅し、ゴンネッラは退廃の巣窟と貶す廃虚の巨大ディスコで不倫の恋人とダンスを踊った。
 そのころ、テレビのニュースではテルツィオらミケルッツィ兄弟が月を捕まえて地上に縛り付けたと報じていた。

===== 感想 =====

● 月の声
 この映画、月の声というタイトルだけあって、夜のシーンが多い。そのため、前作の『インテルビスタ』で若きフェリーニが映画に関わるきっかけを描いていたことと対比して、今回は彼の死を暗示いているかのような印象を受けてしまう。
 でもこの映画の全体を思い返すと、幽霊などは登場するものの、そこに死の影や匂いは薄い。映画の序盤、墓地のシーンがあるけど、そこはかつて幽霊に悩まされた元音楽家のねぐらとなっている。そこを訪ねたサルヴィーニは死の世界に通じる穴を探すけど、そんなものありはしない。翌日、下水の工事現場を通りがかるが、地下には地獄などない。
 監督には、死が自分を迎えに来るという意識は、まだまだ無さそうだ。

 月が主題なので、どうしても神秘的なものや霊的なものが登場することになってしまっただけという感じだ。いつもどおり、いろいろな映像上のイマジネーションを綴るための糊として、月の声というキーワードが使われているということではないかな。
 ただし、一段と現実と幻想との境があいまいになっている。詩的な表現というか、いわゆる「定かである、定かでない」といった映画だ。

● 映像
 映像は可もなく不可もなくというところかな。
 いつもどおり、作り物感が強いロケやセット。照明やスモークなどの使い方や、撮り方もすごく巧いし、巧みな職人技という感じはする。シーンごとに色使いが特定の色に統一されていることが多いけど、ほとんどアザトサを感じさせないのはさすが。
 でも、あまり心に響かない。とにかく作り手の熱のようなものが弱いんだよね。
 主役にしろ脇役にしろ、さらには女優たちも、ビジュアル的に惹かれる者がいない。見ていて絵的に面白くないのだ。
 フェリーニということで、無意識にこちらがハードルを高くしすぎているのかな?

● 月と井戸
 映像からはあまり感動できないので、もう一度、関心をお話に戻してみる。
 この映画の最初と最後はまったく同じシーン。荒地の古井戸の脇でサルヴィーニが月の声を聴いている。
 何故、月の声を聴くのに井戸なのか?

 実は映画の中盤、サルヴィーニが下水に潜ろうとするエピソードがある。そのときは下水の工事をしているジョバンニに遮られるが、彼は月が捕まった時に「見張りが必要だ」と嘆いている。
 つまり、月は大昔から人間を見守るものであり、また月の声は一度大地に染み込んでから、人間に聞こえるようになるということかな。人知れず、月は僕らの足元に恵みを施しているとか? そうした自然の声に耳を傾けようということかな?
――う〜ん、きっと、こんなメッセージなど、後付けだろうな。

● 難しい
 現実と幻想とがいろいろと絡み合っていて、個々のシーンを素直に感じ取っていくのが、とにかく難しい映画だ。僕の理解など、分かったつもりで実はトンチンカンな勘違いである可能性は高い。
 フェリーニの遺作とされるけど、完全に失速。
 お奨めするのは難しい映画だな。


画像

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