ハムイチの棲み家

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画の感想文 [1057] ザ・マスター

<<   作成日時 : 2017/04/05 23:53   >>

トラックバック 0 / コメント 0

【ザ・マスター】
原題:The Master
制作国:米国
製作年:2012年
日本公開:2013年3月22
監督:Paul Thomas Anderson(ポール・トーマス・アンダーソン)
出演:Joaquin Phoenix(ホアキン・フェニックス), Philip Seymour Hoffman(フィリップ・シーモア・ホフマン), Amy Adams(エイミー・アダムス)

===== あらすじ(途中まで) =====
 太平洋戦争の末期、海軍の水兵フレディ・クエルは、妙な材料を使ったカクテルを自作して憂さを晴らしていた。
 戦後、定職に就けずに各地を放浪している時、結婚式を挙げている船に密航した。翌日には見つかってしまい、ランカスター・ドッドという男の前へ引き出されるが、ランカスターはフレディを許し、仲間に加わらないかと持ちかけてきた。実はランカスターは“ザ・コーズ”という精神的なカウンセリングを装った新興宗教の指導者だった。
 フレディはランカスターを信頼し、その片腕として働くようになった。多くは集会や講演会の準備だが、時には暴力的な方法で教団を批判する者の口を封じることもあった。ランカスターの妻ペギーはそんなフレディを嫌うが、ランカスターはフレディを離そうとはしなかった。
 やがて戦争の時代が遠い過去のものになり、心に傷を負った人たちが減ってくると、ランカスターの手法はうまくいかなくなっていった。

===== 感想 =====

● 擬似父子
 この監督の得意パターン――擬似的な父と息子の物語だ。
 ランカスターとフレディは、いわば教祖と弟子という関係だけど、互いに信頼し合う様子はまるで父と息子。精神的に安定するために互いが相手を必要とするようになっていく。
 その狭間で立場が浮いてしまうのが、ランカスターの妻ペギーということになる。元々、彼女は、組織が夫を中心とした家族的な集団であり続けることを望んでいたのだが、フレディによってその構造が崩されていく。ペギーはフレディを排斥しようとするのだが、まるで義理の息子を嫌うかのよう。

● 三人
 ランカスター役はフィリップ・シーモア・ホフマン。いつもどおり、きっちりと役に化け、しっかりとした演技をしている。でも、役のキャラそのものが鮮明なものではないので、あまり惹かれるものではない。
 フレディにホアキン・フェニックス。乾いた雰囲気が合ってるな。
 そしてエイミー・アダムスがペギーを演じている。こちらは老けた雰囲気が合うようになってしまった。
 どれも良いんだか、悪いんだか、微妙。

● 座りの悪さ
 はっきり言って、僕には座りの悪い映画だった。
 信仰宗教、カウンセリングを装った信者の勧誘、弟子たちの心を操る教祖、暴力的な方法で教祖の「予言」を守ろうとする弟子――どうしてもあの教団を思い出してしまう。多くの日本人は、そうなんじゃないかな。
 実際には、こちらの教団は小奇麗で態度もはるかに穏やかで大人。ずいぶんと印象は違うのにねえ……。

● 信者とマスターと「科学」
 この監督は『マグノリア』のトム・クルーズあたりから、新興宗教の胡散臭さというものを採り上げ、憎悪に近いような批判を突き付けるということが見られる。前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の第三の啓示教会など、その典型だ。
 しかし、この映画では、新興宗教はさほど攻撃対象にはされていない。むしろ、それに嵌まる信者の側の代表としてフレディが描かれているようなのだ。
 信者からみた教祖――マスター――の存在。それを描いているような気がする。
 ただし、ストーリーに起伏の大きなうねりはなく、スカスカした印象なんだよね。

 しかし、最大の疑問は、なぜこの映画が米国で関心を集めるのかということ。ネタ的にも、お話的にも、映像的にも、際立って優れた要素は感じないというのに。
 気になるのは「新興宗教」といっても、ランカスター自身は神秘主義を否定し、あくまでも科学的なものだと主張していることだろう。
 もしかしたら、多くの米国民は、最近ありがちな「心理カウンセリング」の怪しさや危なさといったものを無意識に感じているのかもしれない。精神的な規範の核となるような歴史や伝統が薄く、一応は「科学」的な心理カウンセリングにすがらざるを得ない米国民の悲哀だな。

● 難
 この映画について、ここまで書いたような僕の捉え方は、まったくトンチンカンかもしれない。
 きっと多くの人はまったく異なる感想を持つんじゃないかな。
 そういうこともあって、お奨めするのは――難。


画像

ポール・トーマス・アンダーソン (Paul Thomas Anderson)の映画の感想
 ⇒ ハードエイト
 ⇒ ブギーナイツ
 ⇒ マグノリア
 ⇒ パンチドランク・ラブ
 ⇒ ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
 ⇒ ザ・マスター (今回の書き込みです)
 ⇒ インヒアレント・ヴァイス

 ⇒ このブログのトップへ
 ⇒ 映画の感想のインデックス(作品名順)
 ⇒ 映画の感想のインデックス(監督名順)
 ⇒ 映画の感想のインデックス(テーマ別(?))

 ⇒ 映画(全般)ブログランキングへ
 ⇒ にほんブログ村 映画ブログへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

映画の感想文 [1057] ザ・マスター ハムイチの棲み家/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる