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zoom RSS 映画の感想文 [1060] チリ33人 希望の軌跡

<<   作成日時 : 2017/04/11 20:20   >>

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【チリ33人 希望の軌跡】
原題:The 33
製作国:米国、チリ
製作年:2015年
日本公開:2016年5月
監督:Patricia Riggen(パトリシア・リゲン)
出演:Antonio Banderas(アントニオ・バンデラス), Juliette Binoche(ジュリエット・ビノシュ), Rodrigo Santoro(ロドリゴ・サントロ)

===== あらすじ(途中まで) =====
 2010年8月5日、チリのサンホセ鉱山で大規模な落盤事故が発生した。
 最深部で作業していた33名は、死者こそ出なかったものの、地下600mより深い避難所に閉じ込められてしまった。彼らは排煙トンネルを使って脱出を試みるが、途中でハシゴが途切れ、壁の崩落もひどく、上ることは不可能だ。あとは地上からの救出を待つしかないが、食料は3日分ほどで、水もわずかしかなかった。
 そのころ、地上では鉱山大臣のゴルボルンが現場に駆け付け、掘削の専門家のソウガレットらによる救出作業が進められていた。しかし、地上から地下600mの避難所を掘り当てるのは容易なことではなく、調達した10本のドリルも次々と壊れてしまった。事故から18日め、ようやくドリルが避難所を掘り当てた。地上に引き上げたドリルの先端には、全員の無事を知らせるメッセージが貼られていた。
 これまでドリルで掘られたのは直径8cm程の穴で、通信や生存に必要な品物の搬送を目的とするものだ。人間が乗ったカプセルが通れる穴を掘るためには、さらに数か月を必要とした。

===== 感想 =====

● 史実
 実際に起こった事故を再現したもの。当時、僕も緊張してこの事故の行方を見守ったものだ。
 周知のとおり、33人は全員無事に救出される。それは事故から69日後の10月13日のことで、あらすじに書いた生存確認から47日も経過してのことだ。避難所は、地下634mの位置にあり、通常は入り口から約5kmの鉱道をトラックに乗って行き来する。33人は、一日おきに一人当たり缶詰のマグロを小さじ2杯、牛乳一口、ビスケット1枚という配分で生き延びた。幸いトラックのバッテリーがあったため、ヘッドライトなどの光源を常時確保することができた。
 僕らは、この映画を通じて、あるいはこの映画に触発されて改めて事件の解説などを読んで、こうした概要を知ることになるわけだ。

● ドラマ
 これほどの極限状態であれば、救出される側も救出する側も、それぞれ様々な葛藤や人間ドラマがあったと思う。この映画もそうした要素を採り上げて描こうとしているみたい。例えば、鉱山大臣の奮闘とか、不仲だった姉弟が互いを思いやる気持ちとか、妻と愛人との争いとか、いくつかの人間模様らしきものが採り上げられている。
 ただし、脚本の構成力や演出さらには編集などがうまくないため、あまり感動するような人間ドラマにはなっていない。さらには何かしらの教訓になるようなメッセージ――例えば絶望的な状況でもあきめない心とか、一致団結して苦境を乗り切る仲間意識とか――も、あまり伝わってこない。
 せっかくの題材なのに、ちょっと残念な気分だ。

 僕が面白いなと思ったのは、18日め以降の33人の様子。
 それ以前は、自分たちが生存しているかどうかを地上の者たちは知らず、いつ救出が打ち切られてもおかしくない状況だ。生存の可能性は低いと覚悟を決め、整然と規律のとれた行動をしていた。
 ところが自分たちの生存が地上に伝わり、救出の可能性が一気に高くなると、各自のエゴのようなものが働き出して、仲間割れを起こすことになる。
 おそらく、決定的に絶望的な状況よりも、ある程度希望が持てて、なおかつひたすら待つだけの47日間のほうが、精神的にきついものなのかもしれない。
 ここはすごく興味深いところだし、このケースに特有な状況だと思う。もう少し丁寧に描いてくれると良かったのにと、やはり残念な気分。

● 埃焼け
 地下に閉じ込められた作業員のリーダーとなるマリオ役はアントニオ・バンデラス。
 かつてのアクション・ヒーローだったせいか、冷静沈着なリーダーというよりは、強引な「押し」で皆を引っ張るリーダー像になっている。埃焼けした無精ひげというメイクも、かなり決まってる。あまり一人の人間をヒーロー扱いするわけにはいかないと思うけど、もう少し効果的に活躍する場があれば良かったな。

 ジュリエット・ビノシュが若い作業員の姉マリアを演じてる。
 実は最初は彼女だと気がつかなかった。浅黒い乾燥した肌のメイクが似合い過ぎていて、まるで別人の印象だったからだ。マリアは作業員の家族たちを鼓舞し、鉱山大臣にも直談判して救出作業が中断しないように、運動し続ける。こうした活動的なシーンが多くなると、やはりジュリエット・ビノシュらしいんだよね。

 ゴルボルン鉱山大臣を演じたのはロドリゴ・サントロ。
 こちらは『300』のクセルクセス1世と異なり、ラテン的なハンサムのまま。最初は若手のエリート政治家という風情で登場し、救出の日々を経るにつれて、埃焼けした面構えに逞しさや信頼感が醸し出されてくる。かなりいい感じ。

● 並
 こうした俳優陣を見ると、もう少しやれる作品ではないかなと思う。
 どうしても残念な気分。


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