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zoom RSS 映画の感想文 [1088] 或る夜の出来事

<<   作成日時 : 2017/06/23 23:50   >>

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【或る夜の出来事】
原題:It Happened One Night
製作国:米国
製作年:1934年
日本公開:1934年8月
監督:Frank Capra(フランク・キャプラ)
出演:Clark Gable(クラーク・ゲーブル), Claudette Colbert(クローデット・コルベール)

===== あらすじ(途中まで) =====
 資産家の娘エリーは、人気パイロットでプレイボーイと噂されているウェストリーとの結婚を父親のアンドリュースに反対され、父のヨットから逃げ出した。エリーはマイアミからニューヨークまで長距離バスで行こうとするが、休憩で停車している間に荷物を盗まれ、無一文になってしまった。
 彼女の隣の席にいたのはニューヨークの新聞記者のピーターだった。ピーターは、エリーが失踪して新聞沙汰になっている令嬢だと気付き、特ダネをものにするため、彼女を助けて同行することにした。その夜、大雨でハイウェイが通行止めとなり、近くのモーテルにエリーと二人で泊まることになるが、部屋の真ん中に壁のように毛布をぶら下げて一夜を明かした。
 次の日には、エリーのことを別の乗客も感づいたため、二人はバスを降り、野宿やヒッチハイクをしながら旅を続けることになった。

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===== 感想 =====

● 雛型−−展開
 ピーターとエリーは、助けあったり喧嘩をしたりしながら旅を続け、やがて本当の恋に落ちることになるという展開だ。
 よく見るような、実にベタなお話だけど、この映画の製作は1934年で、作品そのものの完成度からいって、この手のパターンの雛型といってもいいんじゃないかな。
 自分の正体を隠そうとする令嬢と新聞記者という組み合わせは、まさに『ローマの休日』(1953年)と同じだし、オチを書けば、結婚式に花嫁が逃げ出すというのは『卒業』(1967年)を思い起こさせる。

● 雛型−−小ネタ
 実は、いくつかのシーンもこの映画が原型ではないかと思えるようなものがある。
 例えば、男女が一つの部屋に泊まることになって、二人の間に毛布などで壁を作るというネタ。この映画では聖書にちなんで「ジェリコの壁」と呼んでいたな。
 あるいは、腹の足しに、ニンジンなどの野菜を生のままかじりつくというネタ。
 そして、男女でヒッチハイクをするときに、女性がセクシーな仕草で車を止め、道端に隠れていた男も乗り込むというネタ。
 誰でも、何かの映画で似たようなネタを見たことがあると思う。

 僕は子供のころに、テレビで何度かこの映画を観ていて、一番好きなのは、ピーターがエリーにドーナツの食べ方を注意するシーン。コーヒーにさっと漬けて口に放り込むんだと教える。
 ここは庶民のピーターと富豪のエリーとの間の垣根が一つ無くなる場面なんだよね。
 今日の映画だと、世の中ですぐに「格差」なんて言葉を使うため、登場人物は僻み(ひがみ)っぽい心情になりがちで、こういう粋なネタにはならず、ネクラな垢くさい場面になっちゃう。映画の質が観客の質で左右される典型例だ。

● 男前
 この映画のもう一つの魅力は、主役のクラーク・ゲーブルだと思う。
 ビジュアルは、渋くてダンディーで、男の色気もたっぷり。よく見ると睫毛(まつげ)が長い。役の性格は、出世欲や金銭欲が無く、優しくて気配りができて、でも、少し強情。映画の時代は、米国が大恐慌から立ち直り、世界経済のリーダーとなりつつあったころで、そんな米国の庶民的な男の一つの典型ということなのだろう。(*1)

 芝居のうえでの一番の見せ場は、ヒッチハイクのシーンだろう。
 まずは、ヒッチハイクで車を止めるコツをエリーに説明する。親指の使い方がポイントで、3通りのやり方があるのだそうな。この芝居はすごくメリハリが効いてるし、かっこ付けたりおどけたりする表情も絶品。
 続いて、実際に車を止めようとして失敗するところもお約束のような展開。オチが高田純次風というのもお茶目で、結構笑える。

 なお、エリーに説明するシーンは、今日であれば、長回しのワンカットで撮るところだろうけど、3番目の方法の時にカメラの位置が少し遠くなり、ちょっと時代を感じる。
 一方、実際のヒッチハイクに失敗するシーンは、テンポアップしていく呼吸が命で、これは今日の映像と比べても遜色ないんじゃないかな。

● お薦め
 設定や展開などが実に見事だし、細かなエピソードも完璧。
 とても80年以上も昔の映画とは思えないほどの面白さだ。


(*1) ほぼ同時代の別の典型が、チャップリンが演じる『モダン・タイムス』(1936年)の労働者だな。

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ヒッチハイクの達人――らしい

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オチは高田純次風

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クラーク・ゲーブルの長い睫毛(まつげ)

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