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zoom RSS 映画の感想文 [1097] 銀魂

<<   作成日時 : 2017/07/19 01:08   >>

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【銀魂】
製作年:2017年
公開:2017年7月
監督:福田雄一
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈

===== あらすじ(途中まで) =====
 攘夷戦争から数年後。江戸は高層ビルが立ち並び、人間の侍や町人だけでなく、宇宙の知的生物である天人(あまんと)たちも暮らす巨大都市になっていた。
 その一角、繁華街のかぶき町に「万事屋(よろずや)」という店がある。店主の坂田銀時はかつて白夜叉と恐れられた剣客で、剣術道場の跡取り息子の志村新八と戦闘種族夜兎族の少女である神楽を使い、新八の姉、妙の世話になりながら、その日暮らしの気ままな商売をやっている。ときには近藤勲や土方十四郎、沖田総悟らの警察組織「真選組」とトラブルを起こすこともあった。
 最近、町では夜な夜な辻斬りが出没するという噂が立っていた。ある夜、桂小太郎が襲われた。桂は、子供のころ銀時と一緒に松下村塾で吉田松陽から学び、ともに攘夷戦争を戦った仲間だ。翌日、銀時が、行方不明になった桂を心配するペットのエリザベスと会っているとき、刀鍛冶の村田鉄矢から連絡が入り、仕事の依頼を受けた。鉄矢の父が鍛えた妖刀「紅桜」が盗まれ、それを探して欲しいというものだ。
 銀時は、新八と神楽、さらにエリザベスと巨大犬定春(さだはる)を使い、桂や紅桜の行方を追うことにした。その夜、銀時の前に現れたのは、妖怪のようなパワーを持った紅桜を使う岡田似蔵だった。銀時は紅桜によって深手を負うが、あわやというところで新八に救われた。
 そのころ、桂を探す神楽は、怪しい巨大船を見つけ、中に忍びこんだ。しかし、女拳銃使い来島また子と策士の武市変平太らに捕えられてしまう。二人が従うのは、松下村塾出身で銀時や桂とともに学んだ高杉晋助だった。
 数日後、まだ傷の癒えない銀時は、鉄矢の妹の鉄子から紅桜の秘密を聞き出し、強力な武器を求めて平賀源外のラボを訪ねた。

===== 感想 =====

● オールパロディ
 原作は漫画だけど、映画の冒頭に主役たちのデフォルメ・キャラが並び、原作ファンには怒られるけど、原作ファンでなければ大丈夫みたいなことを宣言。
 これほど抜け抜けと原作と映画は別物と宣言されながら、まだ「原作と違うから駄目」みたいなことを言う奴がいたら、もう救いようのないほど無粋な人間。物事を誰かが決めた型にはめることが好きなタイプなのねと呆れるばかり。

 いや、この映画の場合、原作至上主義に対しては、こうしたお上品な反論だけではすまない。

 そもそも、すべてがパロディのようなお話。元ネタは多岐にわたる。
 例えば、映画の冒頭、銀時と新八の出会いは、族に絡まれている新八を銀時が助けるというエピソード。このとき、族の襟には「茶斗蘭」という文字が書かれている。チャトラン――ムツゴロウの猫だよ。
 以後、TBSのカウントダウンTV、ルフィーの麦藁帽とゴムゴムの実、シャアのモビルスーツ、ナウシカのメーヴェ、宇宙戦艦ヤマトなどのネタがきっちり登場する。ほかにも、坂田銀時は坂田金時(金太郎さん)かな。夜兎の神楽(かぐら)は月の兎のかぐや姫かな。銀時・妙・新八・神楽の関係は剣心・薫・弥彦・左之助の相似形かな。定春(さだはる)はワンちゃんと呼ばれた王貞治かな。でかい声の村田鉄矢はでかい声の武田鉄矢かな。などなど、ほんの一部。

 そして骨格となる基本設定が松下村塾(これは実名)の門下生や新撰組のパロディ。歴史に詳しい人や、これらを題材にした著名な作品に馴れ親しんだ人が原作漫画を見れば、「何、勝手にパロッてんだよ、ドアホ」と言われそうな代物。なのに、そういった原作漫画のファンが、原作漫画をさらにハチャメチャにした実写化にケチをつけるのって、おかしくねえ?
 完全にダブスタじゃねえ?

 なので、以下、原作無視。

● ハチャメチャ系
 映画としては、いわゆるトンデモ・ハチャメチャ系。
 一応、明治維新のころに似た状況設定だけど、時代も場所もすべてを超越したお話ということになる。
 こういうの大好きだけど、この映画、何となく物足りない感じが残る。
 まずは、大きな欠点と感じたところを四つ挙げよう。きついぞ。

 一つはハチャメチャが突き抜けていないこと。
 小ネタはあれこれあるものの、観客がそこまでやっちゃうのと呆れるようなレベルに到っていない。この監督の常連というか、HK(変態仮面)以来、佐藤二朗とムロツヨシは好き勝手にやる権利を監督からもらってるような気がするけど、今回は目立ちすぎだ。彼ら二人のアドリブが霞むくらいでないとね。
 これって作品そのものの突き抜けパワーが弱いということだな。

● マンネリ・アクション
 二つ目はアクションのつまらなさ。
 松下村塾の門下生と新撰組が闘うような状況設定をしながら、強さも格好良さも感じないアクション。殺陣や動きもありきたりで、振付が悪すぎる。
 しかも、これほどハチャメチャなお話なのに、アクションのハチャメチャネタは、紅桜の気色悪い触手攻撃くらい。アイデアがプアー過ぎる。
 例えば、来島また子はリボルバーを撃ちまくるけど、わざと弾込めシーンを描かなかったようだ。ならば(思いつきの一例だけど)また子の超高速装填のカットを瞬時にはさみつつ機関銃並みに徹底的に撃ちまくるシーンを作ればいいのにと思う。どうも、中途半端なのだ。

 アクションのスタッフは、給料分だけ働きましたみたいな仕事っぷり。
 駄目だ!

● グダグダ説明
 三つめ。シナリオの悪さも気になる。
 冒頭、いきなり状況説明から始まる。普通の映画なら「クッサー」とあきれるところだが、まあ、これほどハチャメチャな設定ならば、最初に一気に言葉で説明するのも致し方ない。

 問題は終盤。
 何か知らんが、登場人物がダラダラダラダラとおしゃべりする。どうも自分の心境を説明しているらしいのだが、これが全くこちらに響かない。たまらなく退屈。
 まず、言葉に全く中身が無い。気の利いたレトリックも無い。脚本として会話そのものの呼吸やテンポが悪いし、長台詞をこなす芝居の魅力も無い。
 どうにもひどい代物。
 映画の印象を一番悪くしたのは、この終盤のグダグダな脚本だと思う。

● 魅力不足
 四つめ。最大の問題は主役の魅力不足だ。
 主役、坂田銀時ってどんな奴?
 結局「宇宙一の馬鹿な侍」というキャッチフレーズのようなものしか残らない。
 でも、さほど馬鹿でもないし、侍といっても忠孝などの精神性は皆無で、ただの剣の使い手でしかない。キャッチフレーズそのものが誇大広告になっている。
 で、それ以外の要素は?
 無い!

 彼が命がけで戦うのは、正義のためか、仁義のためか、愛する者を守るためか、などなど、何でもいいから理念のようなものがあってほしいと思うのだが、全く見えない。
 なのでこちらは思い入れができず、クライマックスのバトルで主役が不利な態勢になっても、「ああ、やられちゃうのね」くらいの感想し湧かず、どうにも気分が盛り上がらないのだ。

 演じる小栗旬は、すごくいいんだけどなあ。
 そもそものキャラ設定の不備なのだろう。
 心の中に芯が見えず、ただ仲間と緩くつるむだけの主役――これって、絶対的な価値観やヒーローを嫌いながら、八方美人的に周囲に気を使うことを強要されている最近の若い人たちの心情を反映したものなのかもね。

 要するに、観客に人間的魅力が乏しいから主役も人間的魅力が乏しくなるのだ。
 きついだろ!

● 役者の魅力
 この映画の魅力は、こうしたハチャメチャのトンデモ話を、役者たちが真面目に取り組んでいることだろう。
 僕が特に感心したのは、主役の小栗旬のほか、以下のとおり。

 まずは新八役の菅田将暉。
 見事に化けた。とても『デスノート Light up the NEW world』の馬鹿三人組には見えない。細かな動きなども、すごく器用だなと再確認。
 今回、一番驚いたのは、武市変平太役の佐藤二朗とのバトル、というか絡み。既に書いたとおり、監督は佐藤二朗に好き放題に演る権利を与えているようだが、その好き放題な芝居に菅田は完璧に合わせてた。まったく霞まない。
 ここは笑うより、菅田の力量に感動するところだろう。

 次いで神楽役の橋本環奈。
 もともと小柄でスタイルがあまりよろしくなく、声もダミ声。これまで注目することはなかった。
 最近はかなり力を付けたみたい。少なくとも「千年に一人の美少女」といったキャッチコピーを過去のネタとして自らパロってしまい、変顔や下ネタ(パンツ汚いとかゲロとか)も連打。完全に女優になる方向へふっきれたみたい。
 これからも、今回のようにシュールなキャラや少し浮いたキャラをやれば、かなり魅力的になるんじゃないかな。

 桂小太郎役の岡田将生と来島また子役の菜々緒は、恐ろしく真面目にやってたな。ハチャメチャものの場合は、こういう役が目を休めるのに必要なんだよね。
 なお、もしも監督が井口だったら、神楽に股を覗かれてパンツ汚いと言われたまた子が、自らパンツ脱いで確かめるシーンを用意したかも……なんて想像してる。やはり、この映画、突き抜けていない。

 一方、近藤勲、土方十四郎、沖田総悟の真選組三幹部は、中村勘九郎、柳楽優弥、吉沢亮が演じてる。
 実はこの三人はキャラ的にバラバラで全くかみ合わないのだが、中村勘九郎と柳楽優弥がマイペースにやりつつ上手く三人組にまとめ上げたという感じ。意外と難しそう。

● お薦め
 映画として難は多いけど、ハチャメチャに挑む役者たちの真面目さに免じて、そこは一つ大目に。
 映画館で暑気払いするのに、丁度いいかも。


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