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zoom RSS 映画の感想文 [1105] ザ・マミー/呪われた砂漠の王女

<<   作成日時 : 2017/08/03 23:56   >>

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【ザ・マミー/呪われた砂漠の王女】
原題:The Mummy
製作国:米国
製作年:2017年
日本公開:2017年7月
監督:Alex Kurtzman(アレックス・カーツマン)
出演:Tom Cruise(トム・クルーズ), Annabelle Wallis(アナベル・ウォーリス), Sofia Boutella(ソフィア・ブテラ), Russell Crowe(ラッセル・クロウ)

===== あらすじ(途中まで) =====
 古代エジプトの王女アマネットは、王位を狙って父王、継母、そして王子を殺したため、生きたままミイラにされ、遠い異国に埋められた。
 現代のイラク。米軍の偵察兵ニックは、偶然、古代の遺跡を発見した。軍に同行する考古学者ジェニーによれば、その遺跡は遠いエジプトの貴族の墓らしい。近くに反政府軍が迫ってきたため、ニックたちは石棺だけを取り出し、輸送機で英国へ運ぶことにした。
 ところが機内で同僚のクリスの様子がおかしくなり、突然、上官を刺殺した。やむなくニックはクリスを射殺するが、その死顔は何かに取りつかれたような表情をしていた。その時、輸送機は烏の大群のバードストライクを受けた。機体の至る所が大きく破損し、急降下する中、ニックはジェニーをパラシュートで脱出させるが、自らは機体とともに墜落してしまった。
 ところが、ニックは死ななかった。
 数日後、遺体安置所で目覚めたニックは、アマネットやクリスの幻影を見るようになった。二人に導かれるように、ニックとジェニーは墜落現場近くの修道院へ行くが、そこには蘇ったアマネットが待ち伏せていた。
 二人は襲われ、あわや殺されそうになったとき、謎の一団が現れ、巧みにアマネットを捕えてしまった。彼らは、ロンドンに秘密の施設を構えるモンスター研究家のハイド博士に率いられた傭兵たちだった。

===== 感想 =====

● 予告編
 下のほうの補足に書いたとおり、ユニバーサルの新シリーズの第1作。
 そのせいか、登場する主役級の何人かは、まだキャラに不明な要素が多く、数々のネタもシリーズ全体の予告編的な色彩が強い。
 それでも、単体の映画として面白ければOKなんだけど、そこのところはかなり残念な中身になったみたい。

 で、僕の体験で恐縮ですが――
 ロンドンの大英博物館には大量のエジプトのミイラが展示されている。僕が見学しているとき、その数に圧倒されたのか、地元の遠足(?)らしき子供たちが「mummy! mummy!」とはしゃいでいた。
 「mummy」すなわちエジプトのミイラとは、欧米人が何となく童心にかえって興奮してしまうネタなのだろう。だからシリーズ第1作として採り上げたのかもね。

● 異教の家来
 エジプトのミイラが何故かイラクで発見され(映画では「ここはペルシャなのに?」とジョークを言っていたな。もちろんペルシャはイラクではなくイランだ)、重要な文化財なのに、とっとと英国に運ばれる。何故か米軍の輸送機で。(*1)
 そして英国で古代エジプトの王女が復活し、12世紀の十字軍の騎士の亡骸を蘇らせて家来にする。どうも十字軍の亡骸もミイラ化していたみたい。しかし、異教徒と戦うはずの十字軍が異教の王女の家来になるとは? 意味不明。
 さらにはロンドンの地下墓地の亡骸が次々と生き返り、群衆のようになって地下鉄のトンネルに押し寄せる。でも、いつの間にか、みんなどこかに消えちゃった。蒸発か?

 ミイラや人が生き返ったり、あるいは生き返ったミイラが元のように干からびたりとか、一貫性のあるルールのようなものがない。
 ミイラが生き返るってのがそもそもトンデモだけど、そういうトンデモな世界の中で考えても、どうにもトンデモなお話。
 むしろこの映画はトンデモっぷりを楽しむお話なのだと、発想の転換が必要みたい。そう考えるとそれなりに面白い……と言いたいところだけど、どうも既視感のあるネタばかりなんだよね。

 どう好意的に観ようとしても、どうしてもケチがついてしまうお話だな。

● 干物がいっぱい
 映像はVFXの嵐。
 砂嵐の砂漠に、古代の遺跡に、無人の修道院に、ロンドンの地下墓地。至る所がCGで再現されている。
 蘇ったミイラもほとんどがCG。これが群衆で押し寄せるところなど、まさに干物がいっぱい駈けてくる、みたいな感じ。
 しかも、ミイラといえば砂――と連想するけど、わざわざ水中撮影のシーンまでこってり用意するサービスぶり。
 様々なVFXの技を見せたかったのだな。

 まあ、それなりに楽しいけどね。
 でも、やはり映像にも既視感が……。

● インディ・ジョーンズ
 ニックはイラクに派遣された米軍の軍曹。ところが偵察のかたわら、遺跡で宝を見つけて売りさばこうと企んでいた。いわゆる墓泥棒。でも根っからの悪人ではなく、ジェニーによれば、心の中に「良いもの」を持っているらしい。
 今回、古代ミイラの呪いによって生き返ることになった。この映画では超人的な能力はほんの少ししか見せておらず、ニックがこの先、どのようなキャラになるのかは不明だ。
 ただし、エンディングの様子から、どうもインディ・ジョーンズの既視感が……。

 キャラがはっきりしないせいか、トム・クルーズが適当に演ってる感じ。

● 腹の出たハイド氏
 むしろ注目なのは、ジキル博士。ジキルとハイドのジキルだよ。
 おそらく、シリーズ全体の中心人物になるのだろう。

 ただし、こちらも主役としての理念、社会的地位、資金源などが不明で、なんとも微妙なキャラ。そしてときどき凶暴なハイドに変身するけど、それがどの程度の能力か不明なまま。とにかく、何もかもが中途半端に情報開示されたキャラなのだ。
 すべてはこのシリーズの今後のお楽しみということだな。

 注目すべき理由のもう一つは、演じるラッセル・クロウ。
 ラッセル・クロウは、ずいぶん前から体に締りがなく、今回も腹の出たジキルとハイドになっちゃってる。だけど、やる気になればやるって感じ。
 本気出すと、中年になったトム・クルーズよりもはるかに威圧感のあるキャラになることを証明してみせた。

 今後、このシリーズに出続けるのであれば、ラッセル・クロウももう少し体調管理に気を使うと思う。そうなると、このシリーズとは別作品だろうけど、いずれはすごい映画を見せてくれるんじゃないかと、かすかに期待してる。

● 王女
 最後になるけど、この映画の最大の注目は、王女アマネットを演じたソフィア・ブテラだ。
 かつて『キングスマン』(2014年)の義足の殺し屋ガゼルが強烈だったな。
 そこでは、「すらっとしたスタイルは格好いいし、流れるような動きも美しい。眉が太く、浅黒い肌の色がとても魅力的。これからも映画に出て欲しいものだ。」なんて感想を書いた。
 今回、眉や肌そしてスタイルはそのままに、体の動きに大きく変化を付けてきた。パワーが復活中のミイラというシーンが多く、そこでは〔爬虫類の生乾きの干物〕みたいな動きなのだ(って、なんじゃ、そりゃ?)。もはや〔足が高く上がるダンサー〕といった風情はまったくなく、アクションなら何でもこなせそうな女優に進化したという感じ。
 ますます注目。

● 難
 ソフィア・ブテラを観るだけで、僕は映画代の元が取れた気分。
 でも、そういう芝居に興味がない人であれば、暑気払いにもならない映画かも。


〔補足〕ダーク・ユニバース
 この映画は『ダーク・ユニバース』と呼ばれるユニバーサルの新しいシリーズの第1作なのだそうだ。
 ダークとあるとおり、このシリーズは邪悪なモンスターを主役としたもの。例えば、戦前のミイラ男やフランケンシュタインなどの映画をリメイク(リブート)するらしい。そしてジキル博士(とハイド氏)がモンスター研究家として、シリーズ全体の狂言回しになるみたい。ちなみに、本作は1932年に公開された映画『ミイラ再生』をリブートしたものとのこと。

 この新しいシリーズは、映画会社が映画の新たなネタを探してたどりついた結果なのだろう。しかも3Dや4Dに合いそうな題材なので、これからの時代に合ってるような気もする。
 こうしたアイデア自体はかなり面白そう。
 ところが……。

 気になるのは、ロゴに「Universal Parks & Resorts」という会社名がデカデカと表示されていること。これ、映画会社ではない。
 この『ダーク・ユニバース』のシリーズは、単に映画としての企画なのではく、テーマパークやリゾート施設などとタイアップした企画だということが、猿でも気がつくほどにデッカデカと表示されているのだ。
 僕は映画館でその文字を見て、ちょっとげんなりしてしまった。

 確かに考えてみれば、同じ超人的なヒーローであっても、アベンジャーズのように正義の味方の場合には、テーマパークのアトラクションとしたときに、中身の発展性が乏しい。ところがダークなヒーローであれば、ホンテッド系(お化け屋敷系)にしろシューティング系(射撃系)にしろ、昨今の流行となっている観客参加型のアトラクションのアイデアがすごく広がる。
 今後、USJなどに新たなダークヒーローを題材としたアトラクションが数多く登場するのだろうな。

 ここまでは映画ファンとしてどうでもいいことだけど、問題は映画の質が下がる心配があること。
 企画側としては、映画やアトラクション単体で高い成功を収めなくても、全体で高い利益が得られればそれでOKということになる。最悪、映画がアトラクションの宣伝メディアになり下がる恐れすらありうる。
 どうなるか、要注目だな。

(*1) これほど貴重な遺跡を発見し、しかも学術調査をする時間がなく、それどころか偶像や異教徒の信仰施設を嫌う反政府軍に破壊される危険性があるというなら、とっとと埋め戻すのが正しい対応のはず。
 また、遺物を取り出すときは、その配置状況そのものが重要な考古資料になるので、安易に動かさず、少なくとも写真あるいは埋納状況の測量やスケッチを取るのが先だ。特に日本では、例のねつ造事件の反省もあって、遺物の埋納状況については、その上下の土や砂の堆積状況なども重要な情報とされる。
 そうした情報をとらずに取り出した遺物など、価値が半減してしまうとハラハラするのが、本物の考古学者のはず。

 ――と、マジな突っ込みもアホらし。
 ジェニーは誠実な考古学者ではなかったというオチだもんね。

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こちらは「砂漠の女王(Queen of the Desert)」の映画の感想
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