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zoom RSS 映画の感想文 [35] 幸福のスイッチ

<<   作成日時 : 2009/01/03 19:57   >>

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【幸福のスイッチ】
2006年
監督: 安田真奈
出演:上野樹里、沢田研二、本上まなみ、中村静香

=== あらすじ(途中まで) ===
 東京のデザイン会社に勤める怜は上司に反抗して会社を辞めた。しばらくして、郷里の妹の香から姉の瞳が入院したという連絡を受け、急いで実家に戻ることにした。ところが、入院していたのは姉ではなく、かつて度々意見が衝突していた父だった。
 怜は瞳に頼まれ、父が入院している間、香と一緒に家業の電気店で働くことを引き受けた。最初はやる気も起きず、父がわずかな料金で電気製品の細かな修理を引き受けたり、蛍光灯の交換などの雑用をしていたと知り、馬鹿げていると思うことが多かった。
 しかし、常連客と交流を重ね、感謝されることを経験するうちに、次第に客の大切さを知るようになる。

=== 感想 ===

● 第一印象
 上野樹里(怜)と沢田研二(父)の演技がすべて。

● 衣装がだめ過ぎ
 映像やセットは平凡。
 衣装はちょっとダサい。怜は電気店の作業着を着ていることが多いのだが、田舎の電気店でももう少しましなデザインがあるだろう。また、瞳、怜、香の三姉妹がそれぞれ主婦、OL、高校生という設定なのだが、いくら田舎町だからといって彼女らの私服はもう少しなんとかならないか。
 ほぼ同時期の『のだめ』では、同じように田舎出身で東京で暮らすという設定でありながら、上野の着ている服はすごくかわいい。衣装のセンスの違いがありすぎだ。

● 沢田研二
 沢田研二がかなりいい。
 娘とソリが合わない父親の場合、えてして無口で頑固な性格にしがちだが、そういうベタな役作りをしなかったので、娘との距離感がより現代的でリアルな感じになった。ただし、その分、映画的な盛り上がりには欠けてしまい、大岡越前的なお涙頂戴の親子愛を期待する人には不満が残るだろう。
 この映画は「父と娘がやがてお互いを理解しあい心が触れ合う、は〜とうぉ〜みんぐな心温まる親子愛の映画」などではないので、沢田研二の演技はこれでいいんじゃないかなと思う。

● 上野樹里
 そして上野樹里がいい。
 OLのときはぱっとしないけど、実家に帰って電気店で働くときの投げやりな態度が次第に改まっていくプロセスがうまい。最初のうちの脱力したところは『亀』の主婦スパイ役と共通するところもあるのに、まるで違う演技だ。
 とにかくこの映画の状況設定や背景に合わせたものすごく地味な演技だけど、見ていて飽きさせない。一度感情移入してしまうとそれが持続する。ヘタな演技や過剰演技をされると、見ているほうが素に戻って白けてしまうことが少なからずあるのだが、上野にはそういうところがない。

 個人的には、この映画では上野の二つの表情に強く惹かれている。
 一つは何となくキスをしたくなるような気分にさせてしまう表情。
 『スウィングガールズ』で雪の上に仰向けになったときの表情が典型例だ。まるで吸い寄せられるようにキスしたくなる。この映画では、電気メーカーから派遣されて店を手伝いに来た幼馴染が上野(怜)と向き合っているうちに、ふっとキスをしようとする。このときの表情。いいです。
 二つ目は、上野のきつくにらみつける顔。
 先ほどの幼馴染がキスしようとしたシーンでは、上野はキスを拒絶して彼をきっとにらみつける。『エンジン』のころから上野のにらみつける目が好きだったけど、このシーンではちょっとひしゃげた口元も魅力的だ。

● テーマ
 映画のテーマはたぶん社会人としての成長だと思う。
 それも主役の考えが改まって人間として大きく羽ばたくといったような大げさでありきたりな話ではなく、「仕事をするときはお客さんのことをよく考えようよ」という、社会人としては常識というか、地味というか、些細なことに怜が気づくという話だ。
 些細なことなのだが、そのためには、難聴といった客のプライベートにまで踏み込んで心を通わせたり、台風の夜に停電で暗くなった街に明かりが戻るという暖かい情景を体験したりすることが必要だったのだ。
 特に、この情景は「幸福のスイッチ」が入った瞬間そのものだ。街の一軒一軒に幸福のスイッチが入り、怜の心にも幸福のスイッチが入ったという大事なシーンだ。他の人のことを思いやりながら仕事をするということが身に付くことによって、客たちだけでなく自分自身も幸せになるのだ。
 これは取りも直さず怜が父を理解したということでもあるのだが、この映画では怜の父への接し方がその後どう変わったかはあまり描いてはおらず、父娘の心の交流は副次的扱いだ。描かれるのは怜の仕事っぷりだ。
 怜は東京に戻り、クライアント(客)のことを配慮した仕事を行うようになる。

● 当たり年なのに……
 2006年は上野樹里の当たり年だと思うのだが、テレビの『のだめ』以外では何ももらっていない。何だか脱力してしまう。


〔参考〕
 お正月なので、幸福=ハッピーつながりです。
 こちらもどうぞ。 ⇒ ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ


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