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zoom RSS 映画の感想文 [612] アウトレイジ

<<   作成日時 : 2013/05/22 21:46   >>

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【アウトレイジ】
公開:2010年6月
監督:北野武
出演:ビートたけし、椎名桔平

===== あらすじ(途中まで) =====
 関東の広域暴力団、山王会の関内会長は、系列の池元組と独立系で弱小な村瀬組とを争わせ、漁夫の利を得ることを企んだ。池元組長とその若頭小沢は山王会若頭の加藤から村瀬組を絞めるよう命じられ、実働部隊として傘下の大友組にそのまま命令を下した。
 大友組の組長大友、若頭水野、金庫番の石原らは、巧みにトラブルを起こして村瀬組を解散させることに成功し、そのシマを乗っ取って大使館を利用した闇カジノで稼ぎをあげるようになる。しかし、池元組長がカジノに入り浸るようになり、さらに関内会長らも狙い始めた。

===== 感想 =====

● バイオレンス
 理屈抜きでバイオレンスな映像を楽しむ映画。ベタな言葉でくくれるようなテーマやメッセージなどない。
 通常、ヤクザ映画や犯罪映画の場合、善悪や欲望などのメッセージが見え隠れするものだが、そうしたものはおろか、この映画では人間の業のようなものを感じさせることすらない。話の面白さとバイオレンスな描写に爽快感や解放感を感じれば、それでOKということだろう。
 そして、とことん男臭い。女性が出ないわけではないが、ほとんど台詞すらない。
 とにかく徹底してる。

● バリバリ、ドッカーン
 今回の映画の抗争はかなり荒っぽい。
 まず、使われる道具は火器が多いし、威力も大きい。機関銃に手榴弾でバリバリ、ドッカーンとやらかす。意外なことに、このシーンをコントか何かと思う観客がいるらしい。いまどきの日本で「ヤクザが機関銃や手榴弾なんてアリエネエ〜」、「マンガみてえ」と感じるみたい。
 そういう先入観――いかん!
 目立たないけど、現実のニュースで「暴力団関係者とみられる変死体」など珍しくはないし、「暴力団会長宅への手榴弾や機関銃による襲撃」も、ここ1〜2年のうちに九州などで現実にあった話だ。
 機関銃に手榴弾でバリバリ、ドッカーン――もしも、こうしたネタにリアリティがないと思うなら、そう思う方が世間知らずというだけのこと。

 一方で原始的な道具も登場する。
 文房具のカッターでおちょくるというのは、どこかでリアルに聞いた話だ。一方、歯科治療用のグラインダーについては、リアルな事例を知らない。でも、床屋と歯医者は、この手の殺しの定番のような舞台ネタだもんね。
 ブロックで後から頭を殴り、鉄パイプでとどめをさすというのも、いかにもありがち。いくら格闘技に強くても、油断したらひとたまりもないというのが現実。

 こうした暴力団の描写で僕が違和感を感じるとすれば、体格かな。全体的に痩せすぎ。現実はもっと大柄で小太り、あるいはがっちりした体格の組員の比率が高いような気がする。ただし、これをまともに描写すると、本当に恐え映画になっちまうからなあ……。あくまでも娯楽向けの映像なのだ。

● 男優たち
 悪い奴らのオンパレード。役者たちは楽しんで悪(ワル)を演じているという感じ。
 大友組長はビートたけし、つまり監督の北野武。登場時間の8割がたは演技がヘタだし、特に台詞はひどい――これは誰もが感じるところだろう。ところが残りの2割ぐらいで、すさまじい存在感と芝居を見せる。やはり優れた役者なのだ。
 大友組若頭水野に椎名桔平。今回のキャラの中で、たぶん一番目立つ役ではないかな。いつもどおりクールな流し目が決まってる。
 大友組金庫番の石原に加瀬亮。派手なアクションはないけれど、狡猾な知性派ヤクザの典型というイメージがぴったり。残忍な性格を隠し持っていることを予感させるキャラ作りだった。
 大友組ではもう一人、下っ端の組員江本を柄本時生。ひ弱だし、欲深い感じもないし、およそ本物のヤクザとは程遠いイメージ。一番リアリティの低いキャラだけど、それこそがこの監督のねらいなんだろうね。この映画のトーンを醸し出す貴重な存在。
 山王会では若頭の加藤を三浦友和が好演している。山王会会長からコケにされながらコキ使われて、それでも結局は一番貫禄があるんだよね。
 そして池元組若頭の小沢役の杉本哲太も印象深い。
 ヤクザ以外では小日向文世の演じる片岡刑事。無能な事無かれ主義のように思わせて、ひょうひょうととぼけて悪巧みばかり考えてる。このテイスト、やはり北野映画に欠かせないキャラだ。

● 映像と音楽
 いわゆる「キタノ・ブルー」といわれる場面もちゃんと用意されていて、若頭水野の最期の場面で効果的に使われる。ここは強烈なシーンだ。
 そして全編を鈴木慶一のBGMが低く流れ続けていて、観終われば無常感の余韻が残る。
 こうした要素の配し方も巧み。

 徹底した娯楽映画の傑作だよ。


画像

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