映画の感想文 [969] ワン・デイ 23年のラブストーリー

【ワン・デイ 23年のラブストーリー】
原題:One Day
制作国:英国
制作年:2011年
日本公開:2012年6月
監督:Lone Scherfig(ロネ・シェルフィグ)
出演:Anne Hathaway(アン・ハサウェイ), Jim Sturgess(ジム・スタージェス)

===== あらすじ(途中まで) =====
 1988年7月15日、同じ大学に通いながら、ようやく卒業式に言葉を交わしたエマとデクスターは、互いに惹かれ合うものの友達以上の関係にはならなかった。
 エマは自分の生き方が見つからずにウェイトレスになるが、デクスターはテレビの司会者になって人気を博すようになる。二人の距離は近づいたり遠ざかったりしながらも、結局は恋人同士に発展することはなかった。
 そうした関係が23年も続き、2006年7月15日がやってきた。

===== 感想 =====

● 一つの視点
 毎年毎年、同じ日付の様子を描くことにより、定点観測のように人生の描写を行う――誰でも考えそうで、なかなか仕上げるのが難しい課題だ。これを見事にクリアーした傑作。完全に脚本の勝利だな。
 個々の年ごとに主役の男女の距離感をどう設定するか、どのようなエピソードを盛り込むか、そして全体の流れにどのような「うねり」を織り込むか、こういったアイデアや手際がとにかく見事だ。

● 現代的な男女の仲
 エマとデクスターの関係はものすごく現代的だ。友達ではあるものの、男女の関係を意識していて、でもそういう仲に踏み込もうとはしない。
 エマは、最初のうちはウェイトレスをしながら自分探しのようなことをやっていて、自分の可能性がまだまだ未知なので、恋愛にすべてを賭ける気持ちにはならない。
 デクスターは、最初のうちは親のコネなどの恵まれた環境に甘えてぬくぬくと暮らしているので、恋愛に真剣な気持ちにはなれない。
 やがてエマは自分の居場所を見つけ、生活が充実していくなかで、真剣な恋愛や結婚を考える余裕が生じてくる。
 一方のデクスターは、仕事が先細りとなって生活も荒れ、自分の生き方に行き詰まりを感じて、初めて誠実な恋愛に向き合うようになる。

 二人の人間の人生や心境が、あたかもX(エックス)を描くように交差していく。

 とにかく「身も心も」相手に捧げる、あるいは「身も心も」溶けてしまうといったような感情を持つことがない。ある意味、薄っぺらな情緒のようにも思えるけど、それこそが「満たされた気分」の現代における恋心の有り様なのだろう。

● 美男美女
 普通に美男美女の心の擦れ違い物語とみることもできそう。主役の間の細かなエピソードに、自分自身の体験を重ねて「あるあるネタ」を見つけたり、あるいは憧れのシチュエーションを見つけたりといった観方だな。
 そうした場合、デクスター役のジム・スタージェスは、デロリとした二枚目として適役。もう一つ誠実さを感じない雰囲気など、すごく合ってるんじゃないか。

 一方のエマ役のアン・ハサウェイ。こちらは、派手な顔立ちとは裏腹に、ちょっと憂いを帯びた表情などに、むしろ保守的なロマンスを感じてしまう。奔放なようで、どこか奥床しくて慎ましい雰囲気が感じられるのだ。
 この映画のオチが感動的なのは、彼女のこうした魅力によるところが大きいような気がする。

● 絵巻
 絵巻もの――それも現代の男女の仲を描いた絵巻を見るような気分でボサッと観る映画だな。
 DVDの場合、時制のつながりが重要な話なので、邪魔の入らない夜中に一気に観るのをお薦め。


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