ワールドカップ2018 ロシア大会 (その67) イングランドvsベルギー 感想

3位決定戦
2018.07.14 17:00 (日本時間:23:00) サンクトペテルブルク・スタジアム
イングランド 0-2 ベルギー
ムニエ(前14), アザール(後37)

● 布陣
 イングランドは、3-1-4-2のつもり。実質的には、リードされた終盤ですら、ローズとトリッピアーが最終ラインの両翼に並ぶことが多く、5-3-2というべきでしょう。

      9 ケイン   10 スターリング
3 ローズ  17 デルフ   21 ロフタスチーク 12 トリッピアー
         4 ダイアー
  6 マグワイア 5 ストーンズ 16 ジョーンズ
        1 ビックフォード

 ベルギーも3バック。こちらもところどころ、休憩タイムであるかのように5-3-2になることはありますが、試合時間の多くは3バック状態で、3-4-3というのが一番適切かな。

            9 ルカク
       10 アザール    7 デブルイネ
22 シャドリ  6 ウィツェル 17 ティーレマンス 15 ムニエ
  5 フェルトンゲン 4 コンパニー 2 アルデルウェイレルト
            1 クルトワ

● 前半
 前半4分、いきなりベルギーが先制します。
 ダイアーが前掛りになってイングランドの守備網の中央に広大なスペースができ、そこでフリーでボールをキープしたルカクが左のシャドリへパス。シャドリはGKとDFラインの間にライナー性のクロスを入れ、大外から走りこんだムニエが右足の脛に合わせてゴールしました。
 このとき、イングランド側には5人以上も守備がいて、うち3人はゴール正面を守っていたのですが、まったくマークができず、役に立たない木偶の坊(でくのぼう)状態です。中二日の試合で疲労していたのか、試合開始直後で集中力が切れていたのか、あるいは3位決定戦ということで意欲が低かったのか、イングランドの反応はとても鈍いものでした。
 なお、この時のクロスが「腰の高さのライナー性」というのも要注意のポイントです。守備の高さに対する対策ですね。

 リードしたベルギーはしばらく5-3-2で慎重に様子見。やがてカウンターを繰り出すようになります。押し込んだ場面では、イングランドの5人のDFラインのわずかな隙間を狙ってラストパスを通そうとします。
 一方、イングランドはリードされているのに5バック状態で引き気味。5人の網を作っても、その前の第2列はボールへの寄せが甘く、ベルギーをどんどん調子付かせるばかり。攻撃の場面では常に前方は人数不足ですし、最後の突破のアイデアもありません。クロスもめったに入れられない始末。

 「イングランド、やる気あんのか?」状態で、前半終了。

● 後半
 後半のスタートから、イングランドは、リンガードとラシュフォードを投入しました。ようやくリンガードのドリブルなどにより仕掛けられるようになり、FKやCKが増えていきます。一度は、ダイアーがGKをかわすループを決めかけ、アルデルウェイレルトがギリギリでクリアーするなどの惜しい場面も生まれました。

 しかし、得点できないうちに、逆にベルギーに追加点を許すことになります。
 37分。GKクルトワから、コンパニー、ウィツェル、デブルイネとパスがつながり、デブルイネは少しドリブルして左のアザールへパス。アザールは巧みなコース取りでジョーンズをブロックしつつPA内に入り、上体でファーを狙うフェイントを入れてから右足でニアを打ち抜きました。

 イングランドには、もはや逆転する気力もないらしく、これにてゲームは終わり。

● 5バックの失敗
 どうしても気になるのが、イングランドの「3バックもどき」の「実質5バック」。
 イングランドが3バックだったと云えるのは、準々決勝のスウェーデン戦くらい。その次の準決勝のクロアチア戦では、メンバーは同じなのにほぼ5バック状態を維持しようとしています。したがって(スウェーデンには失礼ながら)相手がよほど遅攻が下手でない限り、5バックがデフォルトだとわかります。
 それがイングランドの3バックの本質の一断面でした。

 今回、イングランドはベルギーに2度負けました。グループリーグ第3戦とこの試合です。先の試合は、メンバーを9人も入れ替えた無気力試合ですので、参考になりません。今日の試合の結果を重視すべきでしょう。

 やはり、W杯で優勝を狙うなら、5バックはだめです。
 格下相手に先制点をとって後は省エネなどのとき、あるいは格上相手に先制点を取れたら後は亀のように引き籠ってカウンター――こういった戦い以外では、有効とはいえません。
 先制点を取られると反発力が低い。
 そして同格相手では自分たちのペースに巻き込みにくい。
 こうした欠点が目立つ戦術でした。

 ただ、今大会は、CKなど、セットプレーからの得点が多い大会で、その申し子のようなチームであることは間違いないですが、次の大会でここまでの成績が残せるかどうかは、要検討ですね。

 いずれにしろ、センターに大型選手がいることが必須の条件ですので、日本には縁のない戦術であることは間違いなさそうです。

画像
現代サッカーの密集守備の典型
赤いユニフォームは何人いるかな?
この後、ティーレマンスのシュートをストーンズが体でブロック

 ⇒ その1 始まるよー!
 ⇒ その2 グループリーグの予想
 ⇒ その3 トーナメントの予想
 ⇒ その4 ロシアvsサウジアラビア
 ⇒ その5 エジプトvsウルグアイ
 ⇒ その6 モロッコvsイラン
 ⇒ その7 ポルトガルvsスペイン
 ⇒ その8 フランスvsオーストラリア
 ⇒ その9 アルゼンチンvsアイスランド
 ⇒ その10 ペルーvsデンマーク
 ⇒ その11 クロアチアvsナイジェリア
 ⇒ その12 コスタリカvsセルビア
 ⇒ その13 ドイツvsメキシコ
 ⇒ その14 ブラジルvsスイス
 ⇒ その15 スウェーデンvs韓国
 ⇒ その16 ベルギーvsパナマ
 ⇒ その17 チュニジアvsイングランド
 ⇒ その18 コロンビアvs日本
 ⇒ その19 ポーランドvsセネガル
 ⇒ その20 ロシアvsエジプト
 ⇒ その21 ポルトガルvsモロッコ
 ⇒ その22 ウルグアイvsサウジアラビア
 ⇒ その23 イランvsスペイン
 ⇒ その24 デンマークvsオーストラリア
 ⇒ その25 フランスvsペルー
 ⇒ その26 アルゼンチンvsクロアチア
 ⇒ その27 ブラジルvsコスタリカ
 ⇒ その28 ナイジェリアvsアイスランド
 ⇒ その29 セルビアvsスイス
 ⇒ その30 ベルギーvsチュニジア
 ⇒ その31 韓国vsメキシコ
 ⇒ その32 ドイツvsスウェーデン
 ⇒ その33 イングランドvsパナマ
 ⇒ その34 日本vsセネガル
 ⇒ その35 ポーランドvsコロンビア
 ⇒ その36 ウルグアイvsロシア
 ⇒ その37 サウジアラビアvsエジプト (ちょっと待ってね)
 ⇒ その38 イランvsポルトガル
 ⇒ その39 スペインvsモロッコ
 ⇒ その40 デンマークvsフランス
 ⇒ その41 オーストラリアvsペルー (ちょっと待ってね)
 ⇒ その42 ナイジェリアvsアルゼンチン
 ⇒ その43 アイスランドvsクロアチア (ちょっと待ってね)
 ⇒ その44 韓国vsドイツ
 ⇒ その45 メキシコvsスウェーデン
 ⇒ その46 セルビアvsブラジル
 ⇒ その47 スイスvsコスタリカ
 ⇒ その48 日本vsポーランド
 ⇒ その49 セネガルvsコロンビア
 ⇒ その50 イングランドvsベルギー
 ⇒ その51 パナマvsチュニジア
 ⇒ その52 グループリーグの反省
 ⇒ その53 フランスvsアルゼンチン
 ⇒ その54 ウルグアイvsポルトガル
 ⇒ その55 スペインvsロシア
 ⇒ その56 クロアチアvsデンマーク
 ⇒ その57 ブラジルvsメキシコ
 ⇒ その58 ベルギーvs日本
 ⇒ その59 スウェーデンvsスイス
 ⇒ その60 コロンビアvsイングランド
 ⇒ その61 ウルグアイvsフランス
 ⇒ その62 ベルギーvsブラジル
 ⇒ その63 イングランドvsスウェーデン
 ⇒ その64 クロアチアvsロシア
 ⇒ その65 ベルギーvsフランス
 ⇒ その66 クロアチアvsイングランド
 ⇒ その67 イングランドvsベルギー (今回の書き込みです)

 ⇒ このブログのトップへ
 ⇒ にほんブログ村 サッカーブログへ