ワールドカップ2018 ロシア大会 (その69) 反省の時間

反省の時間

● 予想と結果
 今回の大会は、6月14日にロシアvsサウジアラビアで開幕し、7月15日にフランス優勝で幕を閉じました。
 大会前の僕の優勝予想はドイツ一択。ところが、ドイツは6月27日にGL(グループリーグ)敗退決定。大会期間の半分も過ぎないうちの出来事でした。

 ベスト4は、フランス、ブラジル、ロシア、ドイツと予想していましたので、当たりはフランスだけ。どうにもダメダメです。
 もっとも、サッカー解説者などのまじめな予想でドイツがGLで敗退すると書いたものなど見たことがありませんので、外れたこと自体はまったく気にしてません。むしろ、フランスが決勝へ進むと予想しただけ、並の予想よりまし……かな?

● フェアプレーの日本
 今回の特徴としてよく言われるのはVARの導入。これによりPKが増えました。
 解説者の中には、VARで守備がやりにくくなるみたいなことを言う人がいましたが、それは汚いチームに限る話です。元々プレーがフェアなチームはVARで有利になります。

 今回の大会で、公式記録などにより汚いチームの典型とされたのは韓国です。

 一方、フェアなチームの典型は日本で、ワールドカップ史上初、フェアプレーのおかげでGL突破という快挙を成し遂げました。
 これらの記録は未来永劫、国際社会の常識として残ります。ワールドカップとはそういう大会です。
 日本は、「公式なルールに則り、フェアと認められてベスト16になった」ということを、もっと誇っていいと思います。

● セットプレー
 PKに似たような特徴として、セットプレーからの得点の多さが挙げられます。特にCK(コーナーキック)ですね。
 かつてはCKは5本に1本程度の割合で得点に結びつくといわれていましたが、今回はもっと率が高いのではないかな。

 ただし、漠然と「セットプレーの重要性が高まった」と言うだけでは、まったく本質が見えていません。
 セットプレーからの得点が多いのは、背の高い奴、ハイボールに強い奴――ひらたくいうと「デカイ奴が勝つ」という現象が顕著になったということです。
 最近のヨーロッパのチームの大型化の結果なのです。その典型がイングランドですね。

 この対策はどうするか?

 守備については、二つ。
1 高さ不足を解消する。
 例えば、DF4人とボランチ2人を合わせた6人のうち、3人は185cm近いことが必要だと思います。通常、CBの二人は高身長ですから、あと一人は必要です。できればSBよりボランチのどちらかであることが望ましい。
 また、セットプレーの守備のために、もう一人、攻撃的選手の一人は高身長であってほしいところです。
 実際には、決勝のヌゾンジのように、状況に応じて交代など、細かな戦術的配慮も欠かせません。
2 高いボールを入れさせない。
 そのためにクロスの出所への圧力が大事です。また、自陣に近い場所でファールをしないことも重要。
 なお、クロスの守備については、イングランドやスウェーデンのように、多少はクロスを許容するという割り切りをする戦術もあります。さらにいえば、イングランドは深い位置からのマイナスのクロスを嫌う傾向がありますが、スウェーデンはそれすら許容するような守備でした。

 そして、日本の場合。
 なんと呆(あき)れたことに――僕にはとうてい信じがたいことなのですが――ベルギー戦で2006年のオーストラリア戦の失敗を繰り返しました!
 論外です。
 しかも、日本のマスコミ等でオーストラリア戦との相似を指摘する意見がほとんどない。何度でも何度でも同じ過ちを繰り返すのでしょう。
 これを「愚か者」と云います。
 日本のマスコミは馬鹿ということです。

 攻撃については、よくわかりません。
 ただし、今回のフランスを見ると、おそらく「高さに対抗するものはスピード」ということになりそうな気がします。
 なお、高い守備網に対するクロスは「腰の高さのライナー性」が有効なことは、いくつかの例でほぼ実証されたと云って良いのではないかな。

 おまけで、CKの守備について。
 今後、マン・マーク&ストーンというのが主流になり、ストーンをどう置くかが各チームの特徴ということになりそうです。
 一方、初期ブラジルやデンマークが明確なゾーンディフェンスでした。しかし、ブラジルはこれで失敗したようなもので、メキシコ戦からマン・マーク&ストーンを採用しますが、ちょっと不慣れだったようです。

● ボール
 2010年の南アフリカ大会は、無回転シュートの大会でした。そして、長いパスではボールの弾道が伸びやすく、その申し子がフォルランでした(日本は本田ですね)。
 今回、僕は「無回転の時代じゃねえよ」と言いましたが、蓋を開ければ無回転シュート健在。
 結局、公式球の特性による影響が大きいということですね。反省。

 さらに言えば、これからの注目は無回転よりも、縦の変化。
 特にクロスなどで、狙った選手の頭にピンポイントにボールを「落とす」ことが、ますます重視されるようになっています。

● 3バック
 布陣の主流は4-2-3-1。相手が格上のときは4-1-4-1も多いようでした。

 一方、引き籠りの布陣が、5バック。これが多くのケースで(すべてのケースではない)駄目なことは、イングランドが証明しました。
 イングランドの5バックは、サイドを守ることより中央の網の目を一層細かくすることを狙いとするもので、スペインなどのパス・サッカー対策のようです。クロアチア戦で見たとおり欠点が多く、有効な場面は限られています。
 クロアチアの試みを再掲すると、5バックへの対策は次のようなものになります。
・ 大きなサイドチェンジを行う
・ サイドの深い位置まで侵入してからクロスを入れる
・ ミドルシュートを打つ
・ アーリークロスを入れる
・ クロスの高さは、高低の変化をつける

 また、攻守どちらもありなのが4-4-2で、攻撃的な布陣として機能することもあれば、スウェーデンやフランスのラスト10分のように、引き籠りブロックの布陣として機能することもあります。
 おそらく最も柔軟性の高い(フレキシブルな)布陣ということなのでしょう。

 そして、一番ややこしいのが、3バックです。
 一般論として3バックは両翼のスペースを狙われることになりますが、今大会では明確にここを崩されて流れの中から失点したというケースは思い浮かびません。ただし、ボディーブローのように効いてくるみたい。
 一番参考になりそうな例が、ベルギーvsフランスで、この試合はじっくり検討すると面白いかも。
 攻撃側は左右対称な布陣とする必要はないので、3バックに対しては右か左のどちらかを高く張らせるという方法があります(前の大会でドイツがミュラーを使った例があります)。今回、フランスはエムバペを右の高い位置に置きました。もしかしたら、これがデシャンの3バック対策なのかもしれません。
 なお、3バックの多くは3-2-4-1ですが、ナイジェリアなどが見せた、3-1-4-2で3と4の間隔が狭く、その中間の一人がワンボランチではなくアンカーとして機能するというやり方は、要注目です。

● トップ下
 ポジションで面白いのは、トップ下でした。
 クロアチアのモドリッチ、フランスのグリーズマン、ベルギーのアザールがとりわけ印象に残っています。
 共通項は、スピードがあり、ドリブルもパスもシュートもうまいということですね。そして、単に攻撃だけでなく、守備でも組織的に対応し、緩急などの試合全体の流れをコントロールする。こうした役割を果たしています。
 そのうえで、彼らの最大の特徴は、戦術理解が高く、頭が良い(サッカー脳が優れてる)ということです。
 ベタに「トップ下」と云うよりは、昔の用語「ゲームメーカー」のほうが合ってるような気がします。

 この三人と比較すると、日本のMFの場合、足りないところだらけです。
 今回の選手で唯一の希望は柴崎で、あと5~10m前で今と同じだけの仕事量がこなせるようになれば、トップレベルに入れるかも。でも、それって、すごく高いハードルなんですよね。
 がんばれ。

 あとは、ベスト・ゴールなどにちょこっと触れて、ミーハー気分で、この大会の感想を締めくくるつもりです。

 ⇒ その1 始まるよー!
 ⇒ その2 グループリーグの予想
 ⇒ その3 トーナメントの予想
 ⇒ その4 ロシアvsサウジアラビア
 ⇒ その5 エジプトvsウルグアイ
 ⇒ その6 モロッコvsイラン
 ⇒ その7 ポルトガルvsスペイン
 ⇒ その8 フランスvsオーストラリア
 ⇒ その9 アルゼンチンvsアイスランド
 ⇒ その10 ペルーvsデンマーク
 ⇒ その11 クロアチアvsナイジェリア
 ⇒ その12 コスタリカvsセルビア
 ⇒ その13 ドイツvsメキシコ
 ⇒ その14 ブラジルvsスイス
 ⇒ その15 スウェーデンvs韓国
 ⇒ その16 ベルギーvsパナマ
 ⇒ その17 チュニジアvsイングランド
 ⇒ その18 コロンビアvs日本
 ⇒ その19 ポーランドvsセネガル
 ⇒ その20 ロシアvsエジプト
 ⇒ その21 ポルトガルvsモロッコ
 ⇒ その22 ウルグアイvsサウジアラビア
 ⇒ その23 イランvsスペイン
 ⇒ その24 デンマークvsオーストラリア
 ⇒ その25 フランスvsペルー
 ⇒ その26 アルゼンチンvsクロアチア
 ⇒ その27 ブラジルvsコスタリカ
 ⇒ その28 ナイジェリアvsアイスランド
 ⇒ その29 セルビアvsスイス
 ⇒ その30 ベルギーvsチュニジア
 ⇒ その31 韓国vsメキシコ
 ⇒ その32 ドイツvsスウェーデン
 ⇒ その33 イングランドvsパナマ
 ⇒ その34 日本vsセネガル
 ⇒ その35 ポーランドvsコロンビア
 ⇒ その36 ウルグアイvsロシア
 ⇒ その37 サウジアラビアvsエジプト
 ⇒ その38 イランvsポルトガル
 ⇒ その39 スペインvsモロッコ
 ⇒ その40 デンマークvsフランス
 ⇒ その41 オーストラリアvsペルー (ちょっと待ってね)
 ⇒ その42 ナイジェリアvsアルゼンチン
 ⇒ その43 アイスランドvsクロアチア (ちょっと待ってね)
 ⇒ その44 韓国vsドイツ
 ⇒ その45 メキシコvsスウェーデン
 ⇒ その46 セルビアvsブラジル
 ⇒ その47 スイスvsコスタリカ
 ⇒ その48 日本vsポーランド
 ⇒ その49 セネガルvsコロンビア
 ⇒ その50 イングランドvsベルギー
 ⇒ その51 パナマvsチュニジア
 ⇒ その52 グループリーグの反省
 ⇒ その53 フランスvsアルゼンチン
 ⇒ その54 ウルグアイvsポルトガル
 ⇒ その55 スペインvsロシア
 ⇒ その56 クロアチアvsデンマーク
 ⇒ その57 ブラジルvsメキシコ
 ⇒ その58 ベルギーvs日本
 ⇒ その59 スウェーデンvsスイス
 ⇒ その60 コロンビアvsイングランド
 ⇒ その61 ウルグアイvsフランス
 ⇒ その62 ベルギーvsブラジル
 ⇒ その63 イングランドvsスウェーデン
 ⇒ その64 クロアチアvsロシア
 ⇒ その65 ベルギーvsフランス
 ⇒ その66 クロアチアvsイングランド
 ⇒ その67 イングランドvsベルギー
 ⇒ その68 クロアチアvsフランス
 ⇒ その69 反省の時間 (今回の書き込みです)

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